2020.02.07
翌日から早速、鬼の施設が始まった。
「社会福祉法人東京鬼心会 鬼の里」
表の看板は鬼たちによって張り替えられている。
そして鬼たちの仕事・・・
朝の鬼会議
鬼事務所
鬼ドライバー
鬼誘導
鬼トランスファー(移乗介助)
鬼食事介助
鬼カラオケ・・・
尽くせる限りの鬼の所業が繰り返されていた。
そんな鬼の日々が続く中、鬼会議でそれは起きた・・・
赤鬼「最近、俺も少し有給使いたいな~、腰が痛くってさ~」
緑鬼「うける~鬼の霍乱ってか!」
赤鬼「ほんとに痛いんだよ~。鬼の目にも涙っていうだろ、少しは休ませてくれよ!」
鬼母「何言ってんだい!ここが正念場よ、最初が肝心なんだから!泣き言言わないの」
ピンク「もうママの言うのもわかるけど、毎日忙しくってもうみんなの言うことに疑心暗鬼よ!」
天下を取った鬼家族の中で、すこしずつ亀裂が生じ始めていた。
宮鬼「まあまあ、母鬼の言うとおりだよ。みんな、今は力を振り絞って頑張ろう。これで鬼材が増えて落ち着いてくればもう鬼に金棒だ」
黒鬼「何言ってんのあんた。偉そうにその椅子に座って指図するばかりで。あんた心の鬼が身を責めないのかい!ももちゃんなんてもう夜勤50連勤してるのよ。たまには地獄谷の温泉にでも浸かってリフレッシュさせてあげたいと思わない?」
宮鬼「鬼も角折るとは、まさに黒鬼のことだな~、一番鬼盛りだったのに、その顔で良く言ったもんだ!」
黒鬼「何を!!そもそもあんたが鬼長(鬼の里の長)なんてあたしは最初から認めてないんだから!!」
青鬼「もういい加減にしてよ、折角血を分けた鬼兄弟なのに。みんな鬼なりの心を持ってないの!」
会議は鬼気迫る兄弟喧嘩に発展していた。
鬼母「さっきから聞いてりゃ情けない。お前たちに強く猛々しい鬼の心を取り戻させてやるよ。全員外へ出な!」
屋上へ上がった鬼たち。
鬼母「あんたらの弱り切った鬼の心を叩きなおしてやる!」
鬼母の圧倒的な力にみな成す術なく倒されていった。
息絶え絶えの鬼たちを見ながら 宮鬼「母上、 もうそこまでにしましょう。そろそろ来年度の準備に取りかからないと間に合いませぬぞ。」 鬼母「あっはっは、来年のことを言えば鬼が笑うよ!」
宮鬼「母上、来年度とは、来年のことではなくて・・・」 鬼母「なに偉そうに経営者気取りな口利いてんだ!あたしの力がなきゃこの施設だってお前のものにはならなかったのに。ちょっと手柄を立てただけで鬼の首をとったように偉そうに!」 そう言うやいなや鬼母は金棒で宮鬼を打ちのめした。
鬼母は宮鬼を金棒でさんざんに打ちのめした。
そして宮鬼に馬乗りになってその顔に手をかけた。
鬼母「あんた、もしかして宮鬼じゃないね?なんだか言うことが人間臭いし、鬼にしちゃ弱いし・・・」そう言って鬼母は宮鬼の面をおもむろに引き剥がした。
鬼面を剥ぎ取られた宮鬼・・・。
その後ろ姿を見た鬼母の心の中に、かつそこにあった何か懐かしい感覚が去来していた。
宮鬼「・・・母さん、僕だよ。僕は人間なんだ、信じる心と人を思いやる心を持った人間なんだよ。そして、その心はずっと昔、お母さんから貰ったんだよ!」
その声に鬼母の心に昔の記憶が洪水のように押し寄せてきた。
(思い出シーン達)
「・・・っ‼」
豆ができるほど振り回してきた金棒は既にその手から落ちていたが、鬼母はなんとかその場に崩れ落ちそうになるのをぐっと堪えて仁王立ちしていた。
鬼母「そうだ・・・、あたしは心を持った人間だったんだ!いつの間にか忙しさや大変さの中で必死に働いているうちに、いつの間にか心を鬼にしていたんだ」
宮鬼「母さん、もう大丈夫だよ。みんなが豆をまいてくれて邪気も払われたし、心をひとつにしてまたみんなでいい施設を作っていこうよ!」
一同「そうだよ、母さん!」
鬼の目からあふれ落ちた雫が夕焼けのオレンジ色に染まり鬼来鬼来(キラキラ)と輝き、その流れはいつしか白子川になったとさ。
おしまい
節分エピソード参end
なお、この物語に登場する鬼や物語はすべてフィクションです。